2004 年 5 月 のアーカイブ

星の王子様

2004 年 5 月 27 日 木曜日

筑摩書房フェアで15%オフになっていた『おとなのための星の王子さま』小島俊明(ちくま学芸文庫)を 購入。児童書として親しまれている「星の王子さま」を文学的に検討し、筆者の解釈がけっして押しつけがましくない程度に述べられています。大学の講義のよ うな展開だなと思っていたら、あとがきによると大学の講義のテキストを発展させたものだそうです。前半で少し話の展開に違和感を感じる部分もあったけど、 全体的にみれば気になりませんでした。

筆者によれば、20歳前後が「星の王子さま」に出会う好機だそうです。文学的な表現がちりばめられているため、『表層的な読み方ではその意味の深淵 にせまることができないという点において、むしろ大人の読者をこそ対象としている』(高野喜久雄による解説より)そうです。第二次世界大戦下という時代を 背景にナチス・ドイツや近代化の進む社会への風刺、そして人間に対する批判が「星の王子さま」に織り込まれていることが示されています。

翻訳もまた批判であるという立場から、本書には著者による「星の王子さま」の翻訳が多く紹介されています。この訳が「おとなのための」訳といえ、筆者の描く「星の王子さま」の世界に引き込まれます。

「あのとき、ぼくは何も理解できなかったんだよ! 彼女の言葉ではなく行為によって、心を読み取るべきだったのに。彼女はぼくを香でつつみ、ぼくを 照らしていてくれていた。けっして彼女から逃げ出すべきではなかったんだ! あわれな企みのかげに隠れていた、彼女の優しさを見ぬくべきだった。花って、 ほんとうに矛盾しているんだから! けれども、ぼくは幼すぎて、その矛盾を愛することができなかった」

(第一部「王子さまの星」より著者による翻訳部分を引用)

おとなのための星の王子さま (ちくま学芸文庫)

著者/訳者:小島 俊明

出版社:筑摩書房( 2002-04 )

定価:¥ 998

文庫 ( 253 ページ )

ISBN-10 : 4480086870

ISBN-13 : 9784480086877