これ、誰がデザインしたの?
2005 年 1 月 28 日 金曜日いつ頃から始まったのか、デザインホテル、デザイン家電、デザイン雑貨など「デザイン」は強力な付加価値となった。とはいえ、あらゆるプロダクト、 グラフィックはデザイン=設計されているのであって、あえてデザインと線引きされてしまうのは、時代のあるいは言った人の気分でしかない。この本で紹介し ているデザインはそういうった「」付きのデザインではなく、むしろカッコ悪いとも言われかねない類のものだ。
(序文より)
このようにはじまるこの本。紹介されているのは、ナショナルの乾電池、三菱ユニ、ハイマッキー、カップヌードル、百貨店の包装紙、ほんだし、コンビニ、ドトールコーヒーにパスポートなど、身近なものばかり。
プロダクト・デザインには「革新的に生み出されてそのまま型」と「じわじわマイナー・チェンジ型」があるみたいですね。
「革新的に生み出されてそのまま型」の代表格がヤクルト。
僕らが目にするヤクルトは、日本で初めてポリスチレンを用いたインジェクションブロー(射出吹込成型)の容器を採用し、開発に1年を費やしたものだ そうです。ヤクルト容器の「あの」くぼみは当初、大量生産のため生産ラインでベルトによりガイドするためつくられたものなのですが、プラスチック容器がガ ラスに比べて肉薄になるので容量が減ったように見えてしまうのを、そのくぼみによって高さがでることにより解消し、さらに、子供が持ちやすく、飲んだとき に一気に流れこまないため、飲みごたえが生まれる…らしいです。一息でいうのは大分しんどかったです。いやいや、「あの」くぼみもあなどれません。
そして、1968年の発売以来デザインの変更なし、それは突き詰められたデザインの完成度ゆえ…らしいです。あまりの絶賛に、なんとなく営業色を感じますが、たしかにすごい。
「牛乳ビンのように誰がデザインした分からないアノニマスなデザインだけれど、誰が見ても牛乳ビンだと分かるような、いいデザインをつくろうと思っ ていたんです」と、松本氏(筆者注:核メンバーとしてデザインにかかわった松本哲夫氏。現・剣持デザイン研究所代表取締役所長)。名言なり。
これはかっこいいですね。
他の「革新的に生み出されてそのまま型」として、ハイマッキーや三菱ユニなど。
一方で「じわじわマイナー・チェンジ型」の代表格が、カールや明治ミルク・チョコレートといった明治のお菓子。ほかにも、チャーミー、ほんだし、キ リンラガービールなどもこちら。こういった定番商品は、商品イメージが変わらないように、それでいて古くさくならないように、というのがポイントのようで す。
デザインのリニューアルというのは、イラストやロゴを変えても、全体のイメージはそのままというのがベストなんです。
これもかっこいいですね。
身近にある製品が実は著名なデザイナーによるデザインだったり、実はマイナー・チェンジを繰り返していたり、といろいろ気づかせてくれる一冊。パッ ケージの変遷などが豊富な写真で紹介されていて楽しいですよ。あ、ちょっと褒めすぎたかな。あえて苦言を呈するなら、カバーをはずすと「誰」という漢字が びっしり詰まっていて目がチカチカするのが少々難点。
著者/訳者:渡部 千春 出版社:美術出版社( 2004-09 ) 定価:¥ 2,000 単行本 ( 119 ページ ) ISBN-10 : 4568502691 ISBN-13 : 9784568502695
